Etoile

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 薄明かりの客室は、通い慣れた部屋。

 桐尾隼人が芙蓉館の男娼『楓』を指名しはじめてから一年近くが経つ。

 猫足のソファで濃厚な接吻を交わしながら、細い腰に腕をまわした。楓の体つきは未だ、成長途中の少年のようだ。顔だちも含め、容姿は10代に見えてしまう。

 そんなあどけない姿形を持つのに、夜伽に適した性玩具としての手入れは当然ながらきちんと行き届いていて、そのギャップに桐尾はかなりヤラれていた。

 肌はなめらかで白く、いつも微かにバニラの香りを纏っているし、黒髪は撫で心地のよいさらさらだ。乳頭も性器もほんのりとピンク色に色付いており、使い込まれた様子は一切感じさせない。

 柔らかな唇も好い……今まさにそれを味わっているけれど、やはり饒舌で旨い。

「ふぅっ……、」

 楓は唾液を零しつつ、顔を離した。頬は上気して赤らみ、うっとりとしたような表情。下着は早くも膨らみを帯びている始末。

 楓に限ったことではなく、四季彩仕込みの徹底した調教は、客に口腔を使うことを快感に置き換える才能を在籍の男娼達に与えるらしい。

 楓の舌と唇は、桐尾の首筋、鎖骨、シャツをはだけた胸元へと降りていく。舐めながら、楓は明らかに興奮を強めていて、股間の屹立は一層際立った。

「ほら、楓」

 桐尾は足指を突き出す。素足を舐めさせるのは、桐尾が好む行為の一つ。服従させているような気分になれるから。爪先にキスをされてから、丁寧に舌を這わせられると愉しい。吸い付かれたり指と指の間も丹念に舐められたりして、足は唾液に塗れてゆく。

「隼人……」

 しばらくの奉仕のあとで、楓は桐尾の手首を掴んで其処にも唇を合わせた。下の名前を呼び捨てにさせているのは桐尾の要望だ。

「そろそろ、ベッドに行かないか?」
「今日は楓の部屋でしよう」

 そう言ってやると、手の甲に口づけている楓は驚いたような表情をした。

 客室の隣に、楓自身のプライベートルームがある。図鑑が並び、蝶などの昆虫標本と様々な鉱石類が仕舞われ、顕微鏡と天体望遠鏡も揃っていた。他にもあやしげでレトロな薬瓶だとか、大きな卵と化石もある、男の子の秘密基地のような小部屋である。

「……掃除してないぞ。それでもいいなら」
「かまわない」
「あんなところでしたいなんて。やっぱり変わってるな、隼人は」

 微笑みながら、楓は立ち上がった。素肌に薄手のカーディガン、ボクサーパンツを履いただけの身体。スリッパをつっかける足首も細くて、少年めいていた。

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 桐尾が芙蓉館を訪れたきっかけは『四季彩に通う者なら、一度は芙蓉にも行ってみたほうがいい』という話を聞いたからだ。

 芙蓉とは──禁忌を犯した娼妓を罰する館。

 収容者は館から出ることを禁じられ、一日の休みもなく身体を使って奉仕し続けることが義務とされる。ゆえに気を病み、狂っていく者も多いらしい。かつては花形だった花魁も、此処に入ればひたすらに犯し尽くされ、堕ちていくだけ。

 その様子を嘲笑ってやれるだとか、四季彩の金額よりも安く買えること、年中・二十四時間遊べることが、客にとっての芙蓉のメリット。

 かつての高嶺の花でも買ってやろうかな、と思ってレトロな扉を開いたときだ、いきなりに出逢ったのは。

「あれ、桐尾さんじゃないか」 

 顔なじみの客に声を掛けられた。古めかしいホテルのようなロビー、豪奢なソファが並べられた一角で男達がくつろいでいる。紅茶を飲んだり、葉巻を味わったり、トランプまで広げて遊びながら談笑していた。

 何故こんなところにたまっているんだろう、と不思議に思って桐尾が近づいていくと、男達の中に少年の姿を見つける。

 一人の男の上に抱えられている姿は明らかに、性的に愛玩されている商品の容貌。光沢のある生地を使ったチャイナ調の上下を身に付けているのだが、パンツの丈は短く、ほとんど下着といっていい。上は半袖で、胸の一部分だけ肌を透かす薄布に生地が変えられていた。わざと乳首を晒すための意趣であることは明らかだ。

 その乳頭は弄り廻されてぷっくりと尖っているし、滑らかな素足の太腿なども撫で回されている。

「芙蓉に来る趣味をお持ちだったとは。通だね」
「いや、僕は今日はじめて此処に……」

 すすめられた席に腰を下ろせば、すぐさま芙蓉の従業員が飲み物を聞きにきた。とりあえずコーヒーを頼んだところで、少年の『瞳』に気付く……

 左右の目の色が違う。

 左目が、金色にも近いほどの琥珀色を持っている。猫のオッドアイは見たことがあったけれど、人間で、しかもここまでハッキリと左右の色が違う瞳は見たことがこれまでなかった。

「ほう、目当ての子はいないのかい?」

 初対面の男にも話しかけられ「特には決めてません」と桐尾は返す。するとその場の空気は少し変わり、客達は一様にニヤニヤと笑いはじめた。

「楓、営業したほうが良いぞ。チャンスだ」
「新規のお客さんにアピールしなさい、ホラ、なんか特技とか言ってみ!」
「……いきなりそんな、何を言えばいいんだ…?!」

 少年は楓という名前らしい。
 楓に対し、はやし立てる男達。そんな客の腕をふりほどく楓……場は賑やかしく、笑い声で溢れる。

「決定だ。縁談成立でいいだろう」
「おい、みんなで勝手に話をすすめるな。俺の仕事なのに!」
「協力してやってるんだろ、楓がずーーっと売れっ子でいられるようにって」
「そうと決まれば退散だな。俺たちは四季彩で遊んでくるわ。桐尾さん、ごゆっくり、楽しんでって」

 トランプを片付け、男達は本当に立ち去っていってしまう。桐尾は唖然とするしかない。

 客同士で同じ男娼を囲み、これほどまでに仲良くしているのは異様だ。おまけに誰も楓を指名していない……雑談(と、少しのおさわり)を楽しむために寄っていたのか?

 それに男娼のことを客達が売り込んでくるなんて、どこか可笑しい。

「ちょ、待っ……あっ……」

 男達を追おうと立ち上がった楓の背中に、一人の客の手が廻された。そのまま唇も奪われ、桐尾の前で披露されるディープキス。背の低い楓は絨毯の上で爪先立って、男の舌を受け入れている。

「楓、後でまた来るよ」
「ん……三時、だったっけ」
「ああ。それまではこの方を楽しませてやるんだよ。じゃ、部屋に直接行くから」

 ……指名はひとつ、入っていたらしい。その男はというと楓を離してから、芙蓉館の娼婦棟のほうに歩いていった。

 楓はソファに座り直すと、気恥ずかしかったのかゴホン、と咳払いをする。

 その手に光る銀のリングに桐尾はまたも目を瞠ることとなった、明らかにデザインは結婚指輪のそれだ。そもそも、左の薬指に指輪を堂々と嵌めている男娼を四季彩では見たことがない……。

「……えっと。……桐尾さんって仰るんですか」
「マリッジリング? かい……? それ……」

 つい、突発的に聞いてしまった。楓は頷く。

「はい。でも籍は入れてなくて」
「……幾つなんだ、きみは」
「23です」

(……23? にじゅうさん?? にじゅう……)

 信じられない。

 この顔と身体で。

 娼年部に居てもおかしくないほどの容姿をしているのに──…桐尾は混乱してしまい、額に手を当ててため息を吐いた。けれど困惑と共に、彼に対し興味を抱いたのもまた事実。

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 驚くべきことに、楓には息子までも居るといい、それが芙蓉館に入れられた原因の一つらしい(四季彩の娼妓にとっては恋愛ですらご法度、相手と子供まで作ってしまったら刑を受けるのは確実だろう)

 楓はそういった事情も包み隠さず話してくれて、色目も嘘も使わない。男娼らしさがなく、外にいる普通の男の子と話しているのと同じだった。

 桐尾にとってこんな男娼ははじめてだった、多かれ少なかれ彼らは客に好かれようと媚を売るのに、楓には無さすぎる。所帯持ちであることを明かす男娼なんて、他に知らない。

『良かれ悪かれだと思うけど。正直すぎるって気分を害する人もいるし。けど俺はお客さんと素で接したいし、つき合っていきたいんだ』

 ……それは楓の台詞。

 桐尾は気分を害すどころか、リラックスして素でいられる。きっと他の客もそうなのだろう、皆楓とは客と男娼という関係を飛び越えて、気軽な関係を築いている。

 桐尾は自分でも驚くほど、楓に惹かれていった。
 そのうちに、四季彩に遊びに行くことよりも芙蓉館を訪れる回数のほうが増えていき──…

 ある日。

 昼下がり、楓に連絡をせずに立ち寄ってみた。もしも楓が仕事中でも、その時はその時。メイドさんと話しながら、ロビーでコーヒーでも飲んでいよう。それはそれで楽しい時間になる。

 四季彩は辺鄙なところにある。最寄りのバス停に降りると、其処は田舎町の光景だ。ベンチには一人、男の子が座っていた。大きなリュックサックを背負っており、Tシャツに半ズボンが眩しい。容姿も上等な部類だ──さらさらの黒髪に、愛らしい目鼻立ちをしていて、少女のようにも見える顔だ。

 ……美少年を見かければ、話しかけるのは愛好者としての性。桐尾は頭を下げてみた。

「やあ、こんにちは」

 声を掛ければ、垂れ目がちな大きな瞳が桐尾を見上げる。少し警戒ぎみに……こんにちはぁ、と返してくれる彼を可愛いと思うと同時に……誰かに似ている気がした。自分の知る人間の誰かに。

「一人でお出かけかい?」
「ちがうよー。おれ、いまからかえるところだよ。お泊まりしてたの」
「そっか、このあたりに親戚のお家でもあるのかな」

 少年は首をぶんぶんと振る。

「おとーさんのお部屋にいたんだもん」
「お父さん?」
「おかーさんがっ……なつやすみなんだし、もう4年生なんだからー、1人で行ってみたらって」
「……離れて住んでいるんだ」

 何やら複雑な家庭の事情を感じ、おおよそ、離婚をして母方に引き取られた子供なのだろうと予想したが……

「うん。おとぅさんは、ここでお仕事してるんだよ」

 少年は背後に広がる山林に振りむき、微笑った。

(そ……それって……)

 その緑の向こうには、四季彩がある。桐尾が驚き戸惑っていると、街に向かうバスが来てしまう。

「ま、待ってくれ。どういうことなんだ、きみの親っていうのは。もしかして……!」
「おじさん、ばいばい」

 扉が開き、笑顔のままで乗ってゆく姿。桐尾はまさか、と思った。小柄な体つきにも見覚えがあり、この少年はもしかして……去りゆくバスを眺めつつ呆然とする。

 彼の正体を感じとると同時に、今日は芙蓉館に行く気持ちが失せてしまった。あの少年の余韻を引きずったままでは何だか、楓に会いづらい。桐尾は引き返すことにして、次のバスを待つ……

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 楓の客室の、掃除具だとかリネンの類がしまわれている物置の中にある小さな扉を開くと、秘密の部屋へと続く。身を屈ませて入らないといけないところがまた、秘密基地の心地を漂わせる。

 小部屋は、ピンでとめられた作りかけの蝶の標本、桐尾には何に使うのか少しも分からないフランス語のラベルが貼られた薬品ビンの類、積まれた星座図鑑、何かの卵の剥製など楓の趣味で溢れていた。

 木目の机にはアンティークなランプ。楓がそれを灯すとオレンジの光に照らされる空間で……桐尾は後ろから抱きしめた。

「今日も星はきれいだな。隼人……」

 テーブルに手をつきながら、窓の向こうの夜空を見ている楓のカーディガンに手を入れる。なめらかな素肌を触り廻し、口許も指でなぞった。肩にもそっと接吻をする。ボタンをひとつひとつ外しながら、唇同士を合わせたりもした……何度してもディープキスは飽きない。

「ねぇ、フェラしてよ」

 ボタンを一つだけ残し、下着は脱がせたところで桐尾は囁いた。楓はもちろん「ああ」と頷いてくれる。

 桐尾は半裸になり、床に屈んだ楓に含ませた。

 尖端にキスをしてから、全体に舌を這わせはじめる。じっくりと舐め上げて、唾液の雫が垂れる頃、唇を開いて飲みこんでいく。楓は口のサイズも小さいため、文字通り飲みこむという表現が合う。喉の中まで使っての抜き差しだ。

 慣れているとはいえ、苦しいのだろう。楓の眉間には皴が寄り、多量の涎が垂れる。それでも激しく咥えてくれる様に愛しさが込み上げた。仕事だからしてくれているのだろうけど……それでも、四季彩で出逢った多くの男娼達よりも本心から奉仕をしてくれている。

 桐尾は黒髪を撫でて、ペニスから引き剥がすとアラベスクの絨毯に押し倒す。なめらかな肌を存分に味わいたくて、胸の突起も、臍も、鎖骨も、全身を舐め回した。時折ビクンと震えられると自分の舌遣いに感じてくれているのだと思い、嬉しくなった。楓の性器は桐尾に応え、屹立しきっている。

「……膝、痛くないか。そこに毛布があるんだ、敷いたほうが……」

 感じながらも、気遣ってくれる楓。男娼として当然なのかもしれないが、桐尾には嬉しい。

「良いよ、このままで。楓は辛くない?」
「大丈夫だ、俺のことは気にしなくていい」

 頷く楓は微かに微笑み、両手を伸ばして頬に触れてくれる。楓と繋がりたい……桐尾はいよいよその想いを抑えられなくなり、リビングから持ち込んだ軟膏の蓋を開け、指先にそぎ取る。塗り付けるのはもちろん、下着を脱がせた後孔。

「ッ、ふぅ……」

 入り口に触れただけで、敏感に感じる身体。外側を弄るだけで翻弄することができる、楓は瞼を閉じて床の上首を振った。指先を挿れれば、反応はさらに見られる。

「隼人っ……、も……はやく、」
「早く、何だい?」
「……挿れてくれ、指じゃなくて……あぁぁ……」

 感じたそぶりが嘘でないことは、尖端から滴る蜜が証明している。桐尾はしばしかき回したあとで抜くと、唾液に塗れた自らのモノを突き立てた。

「うあっ……! ん、うぅッ……!」

 一気に奥まで貫く。使い込まれている癖に、やたらと締まりの良い孔だ。抽送を開始すると、迸るのは絶妙な刺激。

「ッ、ふっ、あッ、あぁっ、きもち……い……」
「俺も気持ち良いよ……凄い……楓っ…」

 ひとかたまりになって揺れ、貪り合う快楽。抱かれているとき、楓は本当に心地良さそうにする。とろけた表情を見るのも、彼を犯す上での愉しみだった。

「あぁ……。もっと近くに……」

 睫毛を伏せた楓に言われるがまま、上体を倒す。楓は桐尾の背に腕を廻してくれた。合わさる唇。舌と舌で触れながら腰をくねらせ、二人はより濃密に絡み合ってたゆたう。

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 体内に吐いていいと言われたけれど、桐尾は遠慮してしまう。きっとこのあとも違う客に抱かれるはずだし、洗い清めることに手間を掛けさせたくない。

 終えた後も、楓の“秘密基地”で雑談をして、お互いに何本も煙草を吸って過ごす。楓を買うと性行為をしているよりも、こんな風にだらだらとしている時間のほうが長かった。それは他の客も同じなようで、楓を指名する者はみんなそうだと言う。

 そのうちに楓は小部屋を抜け出し、コーヒーを持ってきてくれた。もちろん茶菓子も添えられていて、和菓子屋・雛屋謹製の品だ。

「ぼおっとして、どうした?」
 
 床に直接置くと、楓は屈託のない笑顔を浮かべた。桐尾の傍らに腰を下ろす。

「いや……」

 カップを満たしているのは、二つともブラックコーヒー。桐尾はいつでも好んで飲むが、楓が飲むのは珍しい。きっと今日は睡眠が足りていないのだろうと桐尾は察した。芙蓉に収容されている者は四季彩の従業員以上に休息が与えられない。

「……楓。家族には会ってるのかい?」

 つい、尋ねてしまった。質問が突飛だったためか、楓は少しばかり驚いた表情をした。眼帯に隠されていないほうの、右目が見開かれる。

「ああ、会ってるけど……急に何だ?」
「心配になるんだよ、時々」
「?」
「それは……その」

 館からも出れず、男相手の売春で忙しく塗りつぶされる日常。そんな状態で子供と健全な関係を築けれるのだろうか。この考えがおせっかいなことは分かっているので、桐尾は尋ねたものの、それ以上は口をつぐんでしまった。

「……隼人は優しいな。だけど何も考えなくていい。お客さんなんだから、俺にもてなされているだけでいいんだぞ?」
「そんなわけにはいかないよ、楓」

 桐尾は楓の肩に手を置く。
 すると、楓はため息は零した。

「俺は……与えなくても良い感情を与えてしまうんだな、お客さんに。男娼のくせに嘘をつけないから……」
「そこが楓の、いい所なんじゃないか。素で話しあえる子と此処で出逢ったのは初めてなんだよ」
「……もう、子なんて歳じゃないぞ」

 浮かべる悲しげな表情は、楓を一層幼げに見せる。桐尾は抱きしめずにはいられなくなって、細い腰を掻き寄せてしまう。

「僕が、楓のプライベートのことも心配になるのは、楓がお客のことをお客以上の存在に見てくれてるのと同じで。僕も楓のことを性玩具だとは見ていないからさ」
「……隼人…」

 楓は桐尾を抱きしめ返してくれた。照れたような笑みを浮かべながら。

「ありがとう。俺は夢を見せてやれない男娼だけど、それでも……いいのか……?」
「僕だって、夢を見るような歳じゃないよ」
「そうか、じゃあ……末長くよろしく。俺も隼人の悩み事、何でも聞くからな。全力で癒してやる」

 込められる力はぎゅうっと強くて、桐尾は楓にこんな強い力が出せるのかと思って──自分と同じ成人男性なのだから当然か、と思い直し、我ながら失礼だなと笑う。「何を笑っているんだ」と不思議そうにする楓に理由を話すと怒るだろうから、黙っておく。

 実は夏の日の少年を見て以来、変に遠慮してキスマークをつけることすらも躊躇っていた桐尾だけれど、今日は刻印をつける気分になって、首筋に唇を寄せた。

 楓は自分からカーディガンをずらし、口づける桐尾に穏やかな微笑を浮かべてくれる。

 傍らの窓の外、鏤められて輝くのは幾千の星々。

 人里離れた此処から見る夜空は格別の美しさで、桐尾はそれを眺めつつ、楓の話す星座の話を聞きながら、時間まで。コーヒーを飲みゆったりと過ごした。

E N D