1 / 4「た……だいま……」学校から帰って来た大貴を見て、リビングで読書をしていた薫子は本を閉じた。 大貴を見ると零す、クスリと意地悪い笑み。 「おかえりなさい。ずいぶんと辛そうね?」 「……っ、は……ぁ、かおるこ……」 表情を切なげに歪め、大貴は壁に手をつき身体を縮ませた。 呼吸を荒げ、額には脂汗が滲んでいる。 薫子はソファから立ち上がって、近づく、大貴のもとへ── 「こんな風で、よく一日耐えられたわね。大貴」 威圧的な視線を送りつつ、薫子の手は大貴に触れる。 瞬間、学ランの身体はビクンと震えた。 長い爪の細い指はいたぶるように首筋や胸を撫でて、下腹部へと降りてゆく。 「先生方やおともだちに何も言われなかった?」 「具合、悪いの、って……。ゆわれ、た……」 「あら。みなさん鈍感だこと。貴方がこんなに発情していることに、気付かないなんて」 「……!」 「ベルトを外しなさい」 薫子に股間を撫でられ、大貴は眉間に皺を寄せた。 命じられると言われた通り即座にバックルを外す。 その間にも辛そうに腰は震え、勝手に動いてしまうのか腿や尻がよじれる。 「チャックを下ろして。下品なソレを見せなさい」 熱い吐息をはぁはぁと零しつつ、大貴はズボンを膝まで下ろす。 現れたのは既に膨らんだペニス。 きつめのボクサーパンツを履いているために押さえつけられ、窮屈そうに勃起していた。 下着からはみ出た尖端部分は臍に届き、淫猥な蜜を滲ませている。 その透明な蜜はパンツや制服の白いシャツを濡らし、汚していた。 「いやらしい。はしたない子。後ろにもこんなもの挿れて、よく学校に行けるわね」 薫子は大貴の腰に手を回し、汗ばむ下着をずり下げる。 晒された尻肉の間、アナルに嵌まっているのはプラグだ。 細いサイズならば挿入したままで過ごす事は慣れている、幼いときから時折させられていること。 しかし、今日嵌めているのは普段よりも太めのもので──大貴には苦痛な仕打ちだった。 「は……ずかしぃ、見んなよぉっ……!」 「誰に口をきいているの?」 反抗の言葉を吐いた大貴の脇腹を、薫子は強い力でつねった。 「っ、痛……」 「貴方は私の奴隷よ。私の家畜なの。自覚が足りないんじゃなくって?」 「そんなことねーもん、自覚してるもん!」 「生意気な目!」 ここまで辱めても、大貴はふとした瞬間、攻撃的な瞳をみせる。 薫子は苛立って、大貴の頬を平手打つ。 響く、乾いた音。 「反省の色が見られないわね、全く」 「……反省……してる…」 「判断するのは飼い主の私よ。貴方にはまだまだ罰が必要なようね」 赤くなる頬を抑え、大貴は俯く。 悲しげな表情をしつつも、尖らせる唇。 大貴は一昨日、薫子との約束を破った。 ふたりとも別々の仕事をしていて、仕事が終わったあとに街で待ち合わせしていたのだが、幾ら待っても大貴が来なかったのだ。 客の家でそのまま眠ってしまい、気付けば朝になっていたというのが理由であったが。 薫子はとても腹を立て、大貴が謝っても許してくれず。 こうして、お仕置きを受ける事となってしまった。 「私は怒っているの。分かっているかしら?」 薫子は大貴の顎を掴んで、間近で顔を見る。 もう片方の手は尻穴に伸ばし、嵌まっているプラグに触れる。 掴んでゆっくりと引き抜きはじめると、大貴の表情が変わった。 「う……ッ、ん……!」 「おともだちも先生も、貴方のお尻にこんなモノが入ってることを知ったら。どんな顔をするでしょうね……」 「あ、ぁぁ、かおるこ……!」 大貴は熱い吐息を吐き、思わず薫子のドレスの袖をぎゅっとつかんだ。 異物を取り除かれてゆく開放感・腸壁を前立腺を擦り抜ける感触が、走る。 「や……っ、ぬいて、はやく……っ」 「お漏らししてしまいそうでしょう。お尻の穴で感じてしまう変態ですものね、貴方」 「ひッ、あぁ、痛ぁっ……!」 真ん中が膨らんでいる構造のプラグの、一番太い場所が大貴の肛門を通過する。 登校の前にたっぷりとローションを注いだアナルも既に乾きかけており、太い異物でこじ開けられた尻穴には痛みが走る。 それなのに、痛いのにアナルに刺激が加えられると──それも薫子の手で与えらているとなると──大貴の性器はキュンと感じてしまう。 昨夜は散々自慰をさせられ、絶頂に近づいても射精することを許されず、ペニスが萎えたらまた快楽を与えられ──その繰り返しで一晩中感じさせられ続けたのだ。 耐え続ける性器は既に、限界に達していた。 「いきそう、も、う、出るぅ……!」 「駄目よ。私の許し無く漏らしたらどうなると思う?」 「ッ、ひっ、うぅ……」 大貴は自分のペニスを握りしめた。 きつく強く握りつぶすように。 それでも尿道からは溜まった透明な涙がドロドロと零れて、濡らして、溢れて行く。 大貴の表情は苦悶で満たされ、無意識のうちに腹筋には力が込められた。 「ずぅっと射精を禁じてもいいのよ。ひと月なんてどうかしら。別に射精無しでも、男娼の仕事は出来るでしょう」 「や、だ……そんなの、いや、だ……」 「全部抜けたわ。ほら、見てご覧なさい」 「……! いやだ、やだ……っ!!」 今まで挿入されていたモノを目の前に見せつけられ、紅潮した大貴の顔は一層、羞恥に染まった。 おぞましいカタチの太い異物。 こんなものを挿入されて教室に居た事を思うと、悲しくなると同時に大貴は興奮してしまう。 調教された身体の性(さが)。 大貴は首を横に振り、唇を噛み締める。 快楽と恥ずかしさで火照る身体を壁にもたせかけ、顔を背けた。 「厭々ばかりで、困った子犬」 プラグを床に投げ捨てるように放ると、薫子は冷笑を零す。 「拾ってくるのよ」 「……な……ッ」 「早く四つん這いにおなり!」 薫子は声を荒げ、大貴の頭を掴んで力を込めた。 ふらついて、そのまま大貴は床に手をつく。 「まぁ、はずかしい格好。開いたアナルが丸見えよ、可哀想ね、ふつうの人間は人生でこんな格好してお尻の穴まで見せる事なんて絶対にあり得ないものね」 「は…っ、あぁ、ぅ……!」 学ランの上のみを着た身体で、両手両足を床につけた大貴の顔は、もはや羞恥と屈辱で茹でられたかのようになっている。 身体は震え、カチカチと歯が鳴る。 たまらない悔しさを感じている──それなのに。 ペニスはいきり立って蜜を滲ませつづけ、腹に触れそうに反り返っていた。 「ふふふふっ無様だわ、愉快だこと!」 張って進み、床に落ちている太いプラグのもとへ行くと、大貴はそれを口でくわえる。 手を使ってはいけないことくらい、言われずとも察した。 抵抗感が無い訳ではない。 今の今まで己の肛門に嵌まっていたモノだ。 しかし、逆らうという選択肢は大貴には無い。 早く許して欲しくて、射精の許可が欲しくて、その一心で従う。 くるりと向きを変え、くわえたソレを薫子のもとへと運ぶ。 腕を組んで立つ薫子の目に映る大貴の姿は、ひどく淫靡だった。 下半身裸の股間を弾けそうに屹立させ、口にアナルプラグをくわえて膝を折り曲げ、正座するような姿勢で薫子を見上げている。 上目遣いの瞳はいつものように強い意志を秘めてはいるが、眉間には皺が寄り、今にも溢れそうに雫が潤んでいた。 「お利口ね、やれば出来るんじゃないの」 プラグを受け取ると、薫子はテーブルに置く。 しかし、大貴に与えられる羞恥と屈辱はこれで終わらなかい。 薫子も床へしゃがみ込み、大貴の前へ手を差し伸べる。 フリルとレースが織りなすドレスの裾が、床に広がった。 「お手。」 薫子は無表情でそう、言葉を発した。 真っ赤な顔の大貴は震える手を細く白い手に重ねる。 「おかわり、は? ……そう。偉いわね。伏せ」 薫子の命じる通り、大貴は動いた。 床に頬をつけて、泣きそうな顔をしている。 相変わらず上目遣いで薫子を見ている大貴の姿。 そんな大貴を観察していると──薫子は冷血な態度を取りながらも、その実、心は熱く昂ってときめいてしまう。 あまりに淫らで被虐的な少年の姿に、愉悦を感じる。 「ゆるして。もう……気をつけるから。そんな、怒んなよ……っ!」 「あら。あれを見て、汚いわねぇ……」 薫子に言われ、大貴は身体を起こす。 長い爪が指差す先は、床。 ひとしずく、透明な液体が垂れているのを薫子は見逃さなかった。 「欲情した犬が零したおちんちんの蜜よ。本当に下品ね、舐めて綺麗にして頂戴」 ひどい……大貴がそう言おうとしたとき、そっと唇を奪われた。 予想だにしていなかったキスで、大貴の心臓はばくつく。 そして、キスでまた性器は疼く……今の大貴に薫子の口づけはあまりに刺激的すぎる。 「できるでしょう? 貴方は私の命令ならどんなことも聞ける、言いなりの奴隷なのでしょ?」 「と、当然だろ……」 「じゃあ、床を清めてきて」 薄笑む薫子に、大貴はコクリと頷く。 そして、再び四つん這いに身体を起こす。 先走りが垂れた場所まで這って行くと、プラグで開いた尻穴や、勃起しつづけた性器をあらわに晒しながら、大貴は床に舌を伸ばす。 頬を赤らめ、情けなさと恥ずかしさで震えながら。 2 / 4しばらく床を舐めたあと、大貴は薫子の足下に戻る。すると、薫子は書斎のドアに向かって声をかけた。 「貴方が惨めな家畜だということを、さらに教えてあげる。渡邊。──こちらに来なさい」 開く扉。 予想もしていなかったことに、大貴は驚く。 リビングに現れたのは、全裸に首輪をつけた男。 越前谷家の客であり、普段は大貴に跪き鞭を浴びるM性癖の者だ。 「なっ?! お前……? どうして……!」 「だ、大貴さま……」 「うあぁ、見んなよぉっ!」 四つん這いをやめ、大貴はとっさに股間を隠す。 いつも虐めているペットに、まさか自分が虐められている様を見られてしまうなんて。 一瞬で極限まで上る、羞恥心。 「どうかしら、大貴のこの姿は。感想をお言い」 「えっと、その、」 「遠慮すること無いのよ。はっきり口にして良いの」 「い、いやらしいです。制服で、おちんちんを……あんな風にして。ずっと、お二人の会話も。き、聞いていたんですけど……とってもいやらしくて……大貴様は変態です……」 おどおどとしながら言葉を紡ぐ渡邊を、大貴は睨んだ。 「てめえ。後で覚えとけ、この俺にそんなこと言いやがって。お前は俺の──」 「はっはい、ぼ、僕は大貴様の家畜です。でも、大貴様は……大貴様は薫子様の家畜だから……」 目線を下にやって申し訳なさそうに喋る渡邊の首輪に、薫子は触れる。 「私の命令の方を優先するのは、当然よね?」 深く頷く渡邊と、意地悪い笑みを浮かべている薫子。 大貴は己の身体に腕を廻しながら、呆然とした。 確かに当然のことだけれど、力関係が、こんなに簡単に壊れてしまうなんて。 幾ら奴隷達にSとして振る舞っていても、所詮は自分も奴隷。 その事実が痛いほど刺さって、惨めで、複雑な感情をおぼえる。 「大貴。どうやらこの犬のほうが、貴方よりずうっと奴隷の自覚があるみたいね」 「く……っ…」 悔しくて、大貴は唇を噛んだ。 様々な感情がかき混ざる。 ペットにこんな姿を見られたこと、そしてペットの方が優秀と薫子に褒められたこと。 とにかく全てが悔しく、苛つく。 「ねぇ渡邊、貴方はいつも、大貴にねじ伏せられているんでしょう? たまには大貴を犯してみたいと思わなくって」 薫子の提案に、渡邊は逆らわない。 命じられるまま大貴のそばに行き、床に座り込んだ。 興奮しているのか、既に勃起している渡邊の性器。 おもむろに手を伸ばし、大貴の腿へと添える。 「や、やめろ。いやだ、お前に犯られるなんて、嫌だ……」 「大貴の言う事は無視しなさい。今だけは大貴よりも貴方のほうが位が上。私の命令よ」 「なっ。かおるこ、そんな、俺…!」 大貴は薫子の方を向き、戸惑うような不安そうな表情をみせる。 しかし、薫子は残酷な薄笑みを浮かべているだけで、何も言ってくれない。 こうしている間にも渡邊は指を這わせ、大貴のはだけた胸元を撫でていく。 乳首を摘まれた瞬間、大貴に走る、電流のような刺激。 ずっと射精しそうな身体はもはや、どんな接触でも容易く大貴を追い込む。 「あぁっ……!」 「すごい。大貴様、乳首をこうされるだけで、感じて……」 「ちがうっ、違っ!」 「おちんちんも、こんなに反り返って。お、おしっこ漏らしてるみたいだ……」 「さ、さわんな、あー……」 渡邊は大貴のペニスを掴むと、じっと観察する。 そんな視線さえも今の大貴には愛撫と化してしまう。 絶頂を耐えに耐えて先走りに塗れた性器から、また雫が零れだす。 「お尻も見せてあげなさい、大貴。この犬は貴方の身体に、興味津々みたいだわ」 「っ……!」 大貴は頬を羞恥に染め、自らの太腿に手を掛けた。 恥ずかしくて、本当は逆らいたくてしかたがない。 もしマゾだったらこんな仕打ちでも、きっと嬉しさを感じれるのに……そう大貴は思った。 生まれながらにSの血を引く大貴には、今のこの状況はただの苦痛でしかない。 「ちっく、しょお……!!」 床に寝転がり、脚を折り曲げて晒す、淫らな雄膣。 尻肉を己の指で広げ、渡邊の眼前にひらく。 その指はかすかに震えている。 大貴は羞恥に支配されていた。 「す、すごいです。あぁ、すごく開いてます……」 「どう、自分のペットに穴の奥まで覗かれる気分は。ふふふふっ」 「薫子さま、これ、ここに、挿入て……い、良いんですか?」 「ええ。好きにしなさい。大貴、射精をゆるしてあげる。犯してもらって気持ち良くなりなさい」 やっと降りた、絶頂の許可。 しかしそれは嬉しくない、嫌な形だった。 薫子に罵倒されながら、渡邊というM男に掘られながら、達することを許されても──不愉快でしかない、大貴は歯を食いしばる。 早速渡邊はペニスを握りしめ、大貴のアナルへと近づけた。 尖端の感触が当たっただけで、びくつく大貴。 「さあ、二匹の交尾を鑑賞させて貰うわ」 ソファに腰を下ろし、薫子は優雅な笑みを浮かべる。 そんな薫子の姿を目線の端に映しながら、大貴は貫かれる感触に満たされてゆく。 痛みも走る、けれど快感の方が大きい。 「感じ続けたおちんちんは何秒もつかしら」 「あぁ、はぁ、く……っ、わたな……べ……」 「もう達しそうなんでしょう、貴方どうせ」 「んッ、ふっ、嫌だ、い……やだ、よぉ……!」 「良い顔。貴方が苦しむ様はとても可愛い」 抜き差しされ、揺らされる大貴はぐずる幼子のよう。 泣きそうに瞳を潤ませて表情を歪めている。 そんな大貴の姿をはじめて目にする渡邊は、いつもと違う大貴に奇妙な興奮を覚えてしまう。 自分の前ではいつも凛々しく君臨する大貴が、こんな顔をみせるなんて。 「っうぅ、ッう、イキた、く、ないぃい、見るな……っ!!」 薫子の予想通り、あっけなく大貴は達した。 勢い良く放出される白濁液は、留まる事をしらない。 大量に溢れて、何度も弾けて、大貴の肌や制服、渡邊の肌、床にも飛び散る。 「ほほほほ、ふふふふっ、凄い量ねぇ」 「はぁ、はぁ、あぁ、はぁあ……」 「まだ出ているわ。下品な子、見られながら精液をまき散らすなんて、恥知らずな子」 「あぁあぁあ……!!」 丸一日せき止められていたものを放出し、あまりの快楽に大貴の頭は真っ白になった。 ただただ、とてつもない悦びが全身を満たし、意識すら飛びそうに揺らぐ。 ペニスは生き物のようにビクビク動き、未だに滴る雫。 「の、濃厚です……すごい、味……」 それを指にとった渡邊は、腰を使いながら舐めた。 零す事を耐えに耐えたミルクの味は濃密で芳醇、今まで渡邊が飲んだ大貴の精液のどれよりも味が濃い。 その味と、目の前でぐったりと倒れる大貴の姿、そして強く締め付ける腸壁の感触。 全てが官能的に渡邊を追い込む、感じさせる。 「か、薫子さま、ぼっ僕もすぐにイキそうですぅ」 「あら、おまえも早漏なの?」 「大貴様、こ、こんなだ……いきさま、犯してたらぁ、ぼく、僕……!」 「いいこと。中で出すのよ、この子のお尻のなかで」 「ぅぅう、中、だ……いきさまの中!」 高まる興奮で、渡邊は本能の赴くままに抜き差しをする。 動くことも出来ず瞼を伏せて転がっている大貴に、薫子は声を掛けた。 「大貴。言ってごらんなさい。僕のお尻に種付けして下さい、って」 薫子は立ち上がり、二匹が交尾をする側まで近づく。 精液にまみれ乱れた呼吸を繰り返す大貴は、わずかに瞼をひらいた。 大貴の頬に触れるのは、黒いニーソックスを履いた薫子の爪先。 「お言い」 足先でつつかれて頬を踏まれながら、大貴はぼんやりと薫子を見上げる。 絶頂の余韻で頭が働かず、言葉が出て来なかった。 そして、この期に及んでプライドが邪魔をしてくる、薫子の奴隷として命令に従わなければならないことは、大貴自身とても分かっているのに…… 「ヒールで踏みつけないと、分からない? 痛いことされないと言えないの?」 「っう、……種付け、し…て……」 「もっと大きな声で言いなさい」 「僕の、お尻にっ、種付けし、てくださ……ぃ……!」 大貴は頬を真っ赤に染め、のしかかる渡邊を見つめ懇願した。 足を離した薫子はクスクス嗤う。 「メス犬、そんな言葉が今の貴方に似合うわね」 「ふ……っ、くうぅ、かお、るこ、もう、や……」 「あら、泣くの。泣いたら許してもらえると思っているの」 「ごめ、んなさい、ごめんなさい……!」 仕事でのプレイではなく、日常で、素の自分で、こんな恥ずかしい目に遭ったのはひさしぶりだ。 大貴は滲む涙を拭い、震える。 達した身体に響く刺激が辛く、今このシチュエーション全てが辛く、涙が零れてくる。 薫子がどうしてこんなに怒っているのか分からなくて、怖かった。 怒らせてしまったことも申し訳なくて、それなのに素直に服従する奴隷になることも出来ない自分が居て、それも申し訳なく感じて──様々な感情が混ざり合って、遂に大貴は泣いてしまう。 「っ、うぅ、ぐす…っ……」 「だ、大貴さ、ま、イキます、もう、イキます……ぅぅう!」 「わたな……べ、あぁ、ああ……!」 「イクぅうううう!!」 「ひぁっ、あ、出て……る、……ぅ…!」 放たれる精液が、大貴の腸に溢れる。 渡邊の射精を見届けると、薫子は二匹の側をそっと離れた。 「大貴、身体を拭いて床も綺麗にしてから、私の部屋に来なさい。貴方一人で、裸で、ね」 そう言って、ドレスの裾を翻しリビングを後にしてしまう薫子。 まだ、お仕置きは終わらないらしい。 大貴は苦しげな表情で涙を浮かべ、呼吸を乱しながら、薫子の後ろ姿を眺めていた。 3 / 4制服を脱いだ大貴は、一体何をされるのか不安になった。涙はもう滲んでこないものの、依然として表情は憂鬱に歪む。 鞭? 縄? 蝋? それとも大嫌いな針プレイ? 色々と思考を巡らせながら入る、薫子の部屋。 すると、黒いカーテンに包まれた部屋、ベッドに腰掛けている薫子の姿は。 ビスチェにタンガを合わせ、ガーターベルトにストッキング、ピンヒールを履き。 股間には透明な塊を、ベルトで固定している。 それは──ペニスバンド。 男根の形をしたモノが反り返り、サイズは大きめだ。 「……次は、なにするの……?……」 「見たらわかるでしょう。今度は私が、貴方を犯すのよ」 「なぁ、どうして…許してくれねーの? 俺、ちゃんとあやまってるのに、なんで……」 「舐めなさい」 薫子は、大貴の問いかけに答えない。 唇を尖らせた大貴は、ベッドへと歩み寄った。 床に腰を下ろして、薫子の股間のディルドを舐めようとする。 しかし、大貴ははっとして気付き、座り方を正座に直す。 「あら、段々分かって来たみたいね」 そんな大貴を見下ろし、薫子は微笑む。 そして、大貴の口許に疑似のペニスを押し当てた。 「普段お客様にするみたいに、して頂戴。久しぶりに近くで見せて」 「っふ……」 大貴はいつもするフェラチオと同じ要領で、まずは優しく刺激を与える。 小さく舌を動かしたり、舐め上げてみたり。 意図的に吐息を吹きかけたり、唇を押し付けたり、軽く指先で触れたりする。 もちろん、涎をドロドロに零して濡らしながら。 その後、口を開いて飲み込んで全体を吸い上げる。 「淫らに舐めるのね、貴方って。舌遣いも本当にいやらしいわ。こんなに卑猥におちんちんを舐める男の子、貴方の他にいるのかしら?」 冷笑を零す薫子は滴る唾液を指にとり、大貴の頬に撫で付けた。 べとつく感触が不快で、大貴はディルドから唇を外し顔を背ける。 「やめろよ……」 「貴方は精液や唾液に塗れているのがお似合いよ。あら? これは何?」 薫子はヒールの先で、大貴の股間をつつく。 早くも膨らみを帯びはじめている性器が、そこにあった。 「だって薫子がキレイだから、俺……」 「興奮してしまったの? 可愛いわね」 「あっ……」 ペニスを足先で弄られて、大貴は熱い息を吐いた。 喘ぎそうなのが恥ずかしくて、男根に再び吸い付く大貴。 舌を動かし、快楽をまぎらわす。 目を閉じて喉を使い、最奥までもソレを飲み込み。 吸い付いて、舌を口の中で廻して、激しく涎を絡ませて。 激しく、作り物の性器に奉仕を注ぐ。 「上手。……もういいわ、こちらにいらっしゃい」 ディルドを引き抜き、薫子は立ち上がる。 「壁に手をついて、お尻を突き出しなさい」 命じられるまま、大貴は従った。 部屋の壁に手をつき、腰を大きく突き出す。 すると──挿入される固いディルド。 拭いきれていない渡邊の放った精液と唾液とが混じり合い、潤滑油となって、開いたアナルにすべりこむ。 「ふふっ。繋がってしまった、私と貴方が……」 「い……、はぁ、あっ、痛、……」 「痛い? 美味しそうに飲み込んでるじゃないの」 「苦し……っ、あぁ……!」 薫子は腰を使いはじめる。 抜き差しされる感覚に、大貴は眉間に皺を寄せた。 太く大きな男根は、凶器のように大貴のナカを抉る。 擦れるような快楽も生まれるけれど、辛さの方が大きい。 表情を歪め、大貴は衝撃と痛みに耐える。 「あっ、ぐぅっ、う……!!」 「そんな色気の無い声を出しちゃ、駄目でしょう?」 「ん…っ、あぁ、あっ、あ……!」 「男娼らしく媚びるみたいに甘く鳴いて」 「あ……、はぁ……」 「そう。女の子みたいに可愛く」 「はぁ、あ……ん、あぁ、ん……!」 揺らされながら、大貴は意識する。 甘い吐息を零すようにと。 本当は苦しい、けれど薫子の命令通りに鳴いてみせる。 「鏡をご覧なさい」 言われて、大貴は部屋に置かれた姿見の方を向いた。 映っているのは淫らに繋がるふたりの姿。 裸体の大貴を貫くランジェリー姿の薫子。 「俺……っ、犯されて……る……、はぁ、あぁ……」 「そうよ。主人のいうことをきけない悪い犬の身体に、直接教えてあげてるの」 「ふ、っ、くぅ、あぁ、あ……」 「奥まで叩き込んであげるわ。貴方が私に従属する奴隷であるということを!」 「あぁああぁ……っ!」 腰を掴まれ、根本まで強引に捩じ込まれる。 痛みに大貴は悶えた。 すべてが尻穴に収められ、埋め込まれる。 「や……、痛い、ぁ、は、あぁ、抜け、よぉ……!」 「凄いわね、いやらしいお尻。全部食べてしまって」 「苦しいっ、たら……、はぁ、あぁ……」 再びはじまる抽送、抜き差しされるディルド。 大貴の脳裏に実家での記憶が蘇った。 まるで同じだ、なにか粗相をすると父親はいつもひどく自分を性的に罰した。 謝っても許されず、ただただ辱められて、犯されて、嘲笑われる。 思い出してまた滲みだす、涙。 「……もう、やだ、嫌だ……」 瞼を伏せ、大貴は震える。 本当に辛かった。 身体よりも、心が。 「あやまって、るのに……なんで、こんなひどいこと、するの……? 俺、もう、ほんとに、い……や……だ、パパといっしょ、じゃねーかっ…………!」 揺らされながら、ひどく抜き差しされながら、大貴は言葉を絞り出す。 「ごめんなさい、って、ゆっても、痛くして……、犯して、おんなじ……。すきだから、俺が、拒めないこと、わかってて……!」 ふだんは閉じている辛い記憶や感情。 それらがきっかけを得て溢れ出す。 大貴は壁に腕をつき、また目に雫を潤ませた。 「どうして私が怒っているか理由が分からないの?」 そんな大貴を、薫子は睨んだ。 眉間に皺を寄せ、大貴の腰をぎゅっと掴む。 「貴方のしている仕事は普通の仕事じゃないのよ、危険が一杯……! 私はいつも心配なの。帰りが遅いと、お客になにかされたのかって。拉致、監禁、怪我させられたり、殺されてしまったり。越前谷家の娼婦や男娼でもあるのよ、そんな事例」 やっと──薫子から紡がれる本音の言葉。 「だから。ちゃんと連絡をしてくれないと、不安でたまらないの」 揺さぶられながら、大貴は気付く。 薫子の真意を理解する。 不器用な彼女の心を── 「変な目に遭っていないかって、心配で心配で、私は……!」 激しく大貴を犯し、薫子もまた表情を泣きそうに歪めた。 ぶつける、貫いて抉る、激しく穿つ。 「二度と貴方が過ちを繰り返さないように、めちゃくちゃに壊してあげるわ」 「はぁ、あっ、くっ、あぁああッ」 「こんな罰をまた受けたくないでしょう? 受けたくないように……貴方を痛めつける!」 「ん……ぅ、う、あっ、うぅ……!」 そんなに薫子を不安にさせていたなんて。 心配させてしまったなんて。 吐息をぜえぜえと乱しつつ、大貴は謝った。 「……ごめ……ん……」 身体を犯す衝撃全て受け止め、揺れながら伝える。 「……もう、ぜったい。連絡せずに、寝たりしない、それで……それで、プレイしたこと、全部……報告するし、薫子が許可した客としか、しな……いし……ちゃんと、ほかのいいつけも守……る、俺は……っ」 「本当に? 本当にそれができるの?」 「する、だって、薫子のことがすき、あいしてるから……!」 犯されながらペニスも掴まれ、扱かれて大貴は悶えた。 悶えながら誓う、感じながら想いを告げる。 「俺は、薫子のいちばんの、ドレイでいた……い……マゾには、なれな……い、けど、犬で、いたい……」 「……貴方は私の奴隷よ。私の家畜。愛らしいペット」 「うれ……しぃ、あぁ……!」 レースの手袋をはめた手で弄られる性器。 苦痛を快感が押さえ込み、大貴を追い込んでいく。 迫る絶頂、せり上がってくる快感。 激しく扱かれれば──連れて行かれる。 「あぁ、あぁあ、もう、もう……」 「達しなさい。大貴……」 「あぁあ……っ……!!」 迸る雫を薫子は掌で受け止めた。 大貴は裸体を震わせ、極みへと飲み込まれる。 性器を扱かれて一滴残らずしぼりとられながら、彷徨う悦楽。 ディルドがゆっくりと抜き取られると、そのまま床へ崩れ落ちた。 薫子もしゃがんで、掌を大貴の顔へと近づける。 大貴は精液に塗れたその手を掴み、自分から撫で付けさせる、己の顔に。 白濁が付着して汚れる、大貴の顔。 「……いっぱい出しちゃった……きもちよかった。ちょっと、痛かったけど……」 体勢を変えて、大貴は微笑む。 壁に背を向けると、薫子の手を彼女の頬にも触れさせた。 液を塗り付けるように、ぐちゃぐちゃに塗れさせる。 精液は長い髪にもついてしまう。 ふたりはどろどろと塗れながらキスをした。 指を絡め、くちびるを求め合い、舌を触れ合わせ、唾液と精子の味を混ぜながら。 おまけ / 4大貴の部屋で、渡邊は震えていた。後ろ手に手首を縛り上げられ、床に転がされながら。 目の前にはシャワーを浴びたばかりの、黒いボクサーパンツ一枚の大貴がいる。 「汚ねぇカチク」 「うっわぁあっ!」 蹴り上げられ、思わず上げてしまう悲鳴。 首輪に繋がった鎖を掴まれて引き起こされると、また脚を蹴られた。 「い、痛いですっ」 「うるせえな。俺はお前に罰を与えたい気分だ。今スゴク……」 「あぁああ……」 鋭い瞳で見下ろされ、渡邊の震えは目に見えて増す。 大貴の瞳は威圧的な、Sの瞳だった。 「俺に挿れてどうだった? なあ」 「そ、それは」 「言えよ……」 「す、すごく気持ち良かったです……うあぁ!」 正直に言ったのに、また蹴りを浴びてしまう。 「ム カ ツ ク。てめえ調子に乗ってんじゃねえぞ、何だそのツラ、マゾ豚が!」 「ちょ、ちょうしになんてのってな、ないですっ」 「乗ってんだよ!! あーいらいらする。いらいらする!」 「大貴。遊んでないで、お夕飯の用意手伝って頂戴」 薫子の声がキッチンから聞こえる。 大貴は鎖を手放した。 「はーい。今いくー」 普段の子供らしい声で返事をすると、再びキッと渡邊を睨んだ。 「ココで正座してろ。分かったな」 「は、はいぃっ」 「あとで一杯、恥ずかしい目に遭わせてやる……さっきの俺よりも、もっと恥ずかしい目に……ふふふふっ」 歪んだ笑みをこぼすと、大貴はジャージを着て、自室を出て行った。 薄暗い部屋の中、命令通り正座した渡邊の股間は、早くも反り返って主張している。 E N D |