Birthday

 テーブルには大きなケーキと、色とりどりの料理がならんでいる。
 妹のマイカは、お庭で摘んだ薔薇の花束と、僕の似顔絵をくれた。
 決してじょうずな絵ではないけど、気持ちがこもっていて、うれしいな……。
 ところで、パパはなにをくれるんだろう……?
 わくわくして待っていると、プレゼントを連れてきてくれた。
 ブラウスと半ズボンを身につけた、亜麻色の髪のオモチャだ。
 後ろ手に縛られて、首輪から伸びる鎖をパパに握られている。
「これ……僕にくれるの?」
 信じられなかった。欲しい、欲しいって、前からお願いはしてたけど、まさか本当にもらえるなんて思ってもいなかったんだ!
「パパとおじさまたちが大事にしてる、お人形じゃないの……?」
「いいんだよ、譲ってやろう。そのかわり大切にするんだぞ」
「うん!」
 僕はうなずいた。パパから鎖を受けとる。
 このきれいなオモチャが僕のものになるだなんて!
 パパは微笑み、拍手をする。
「お誕生日おめでとう」
 マイカも、家政婦さんたちも、執事も、拍手をしている。
 オモチャは特になにも思っていなさそうな様子で、瞳に僕を映していた。