「Birthday」

あの頃、私はまだ『理』(ことわり)を
失っていなかったんですよ。

Prologue

後になって思えば、それは
死の香りだったのかもしれない──

残光

この夜に、
至極普通の価値観のものなど、なにもない。

仮面舞踏会・上

きみは俺をずっと忘れられないね。
ファーストキスの相手だから……

仮面舞踏会・下

パパよりもおじさまたちよりも大事に飼うから……
僕だけのオモチャ、お人形になってほしい。

「Engage」

兄妹は口づけを始めた。
肉感的な抽送の音に交わる、艶めかしく吸いあう音。

爛・上

本能のままに淫奔と残虐と退廃を愛して、
近親交尾まで愉しみ果てた一族の末路が、わたしたちよ……

爛・下

真っ白で小さな世界から連れ出されて
感情も景色も知らなければ、
哀しさも切なさも覚えることはなかったのだろう。

「Azure」

お前以外に忠誠を誓える者など、
この世界にいるのだろうか。

「Pledge」

了理は決意を告げる──彼に約束したかった
やはり僕は……お医者さんになりたいです

善悪の彼岸・上

彼の身体からはほのかに、病院の匂いがして、
了理を幸せな気持ちにさせる。

善悪の彼岸・下

ずっと舞花は大貴の記憶のなかで、
良い母親のままでいればいいのだ。

「Night tale」

もしよければ僕と、ずっと、死ぬまで……
お友達でいてください……!!

饗宴

薔薇の香りと綺麗な月は、
青春時代の大切な記憶を呼び起こす、優しい呪い。

Epilogue

崇史も死んだら……来てほしいな。
どれほど未来になっても構わないよ、いつまでも待っているから……

「Last moment」