▽ 調 教 篇

一秒、一秒が、セイにとっては
永遠のように長い。

第一章 誘拐

健次のドス黒い加虐心は高まってゆく。
引導を渡してやろうか、と。

第二章 堕天

様々な体位でなされる抜き差し。
傷を負った腸壁で感じる、重厚な男の輪郭。

第三章 凌辱

流石だな、愛好家どもは。
抱かずして判るか?

第四章 監禁

……信じがたい言葉だった。また理解が遅れ、
ぼおっとしてしまったセイは舌打ちをされる。

第五章 現実

込みあげる愉悦で笑いがとまらない。
腹を抱えて笑い続けた。

第六章 烙印

しゃぶれ。お前みてぇな淫乱は、
どうせ咥えるのも好きになる。

第七章 淫性

羨ましい、か。
闇を見つめ、闇の中でポツリと呟く。

第八章 陰影

▽ 開 花 篇

天国に近づけますようにと。
微笑いながら想う。

第九章 兆し

砂埃の混ざった隙間風に揺られ、時折、ギィ……と、
小さな悲鳴のような音を漏らす。

第十章 流転

こんな快感知ってしまえば、もう、
知らなかった頃のセイには戻れない。

第十一章 白日

何も分かっていない少年。
何も知らなかった少年。

第十二章 情痴

得も知れぬ悦楽はずくずくと足首から絡みついて背骨を
逆流するように走り、脳までもとろけさせてくれる。

第十三章 夜光


▽ 宴 篇

……生まれながらにして幾つもの業を背負っています。
性奴隷に堕ちるのは妥当な運命でしょう。

第十四章 薄氷

彼の長髪が潮風に弄ばれたのは、
綺麗な光景としてセイの心に刻まれた。

第十五章 娼年

めずらしいのね、貴方が、
表舞台に現れるなんて……

第十六章 開宴

見られていることが嬉しいくせに、
極度な恥ずかしさのあまり間逆なことを口走る。

第十七章 姦覧

健次は檻の前に立つ。
黒いスーツのポケットに手を突っこんで。見下ろす。

第十八章 落札

ひとりきりで駆けだしてしまう。
向かう先はきっと闇なのに。

第十九章 福音